声が震える


あなたの声が胸の中にずっと残っている


「さようなら」


と、いう言葉とともに。



心が弱ると、時々震えるその声は
私の何かに触れて

不意に涙を零させる。


大好きだったあなた。
ずっと、そばにいると決めいていたあなた。
たぶん、愛していたあなた。


空は霞、木々には薄い紅色の小さな花が蕾を少しずつほぐしていき
もうすぐ、その花びらを開こうとしている。


強い風が、わたしの髪をかき乱す。

ねぇ、もう・・・あなたはわたしの髪を撫で梳いてはくれないんだよね。


新しい季節は、もうすぐそこまで来ているのに
わたしの心は、まだあなたを見ている

大好きだったあなた
ずっと好きだったあなた。
たぶん、愛していたあなた。


今日も、私の胸の中で微かに震える
低くかすれた声。

「さようなら」


涙が零れるたびに、その声が小さくなればいいのにと
儚く願う

春の雨が一雨ごとに氷を溶かすように


また、あなたの声が小さく震える。


「さようなら」
「きっと、しあわせに」


きっと、幸せに・・・あなたがいなくとも


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そうですね、卒業のシーズンですので
再び「決別」をテーマに書いてみました。

新しい季節、不安と未練を胸に
きっと、いい方向に。