花散らし

其処に
貴方は立ち竦んでいた

花散らしの雨は冷たく
水の溜まりからの流れに
薄紅色の花弁が
くるくると渦を作りながら
足下を過ぎて行く



濡れた髪は
肩に掛かり
人工的にゆるゆると巻かれたそれは
雨の雫を受けて
重く


頬を濡らすのは
きっと雨ではなくて


其れでも


気付いてはいけない


雄大
しなやかで
そして何よりも


憂う姿は


この薄紅色の花木そのもの



貴方の哀しむ姿が好き


あれは
竜胆の花言葉だけれども


貴方の哀しむ姿がとても好き
桜の木と
とてもよく似合うから