白い朝

後頭部を強く打ち付けられるような衝撃と共に、私の感覚は猛スピードで閉じられて行くのがわかる瞬間だった。

真っ当に生きていて、まさか、私がそんな言葉を投げつけられる側になるなんて思いもしていなかったし、想像だってした事がなかった。

白い顔で横たわる、その人の空のような目を今も、私は、はっきりと思い出すことが出来る。
決して忘れない。
でも、思い出さないようにし続けている、白い壁に囲まれた、明るい朝の日。

怒声と共に肩を強く弾かれて、強い怨みを込めた音が私を貫いた。
訳が分からず、茫然自失となっている私を誰かが庇う様にその場から遠ざけて小さな部屋に匿う。

「大丈夫か?」

優しい声で、ようやく、投げつけられた音が言葉となって側頭葉に届いて意味のある音になる。
訳が解らず、冷えていく四肢を震えだけがまともな感覚を保とうと助けてくれているようだった。




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